
<執筆担当>
~空き家再生請負人~
合同会社Glanz-K
代表社員 影山賢二
実家を「負動産」にしない相続術
近年、テレビやニュースで「空き家問題」という言葉を耳にしない日はないほど、日本全国で空き家が増加の一途をたどっています。
特に地方に限った話ではなく、あるデータによると都心部でも空き家が多い自治体が存在するほどです。
そして、この空き家問題が顕在化する大きなきっかけの一つが、親から子へと受け継がれる「相続」のタイミングです。
親御さんが大切にしてきた家が、いつの間にか「負動産」、つまりは金銭的にも精神的にも「お荷物」となってしまうケースが後を絶ちません。
今回は、そうなる前に知っておくべきこと、そして私が手掛けている空き家再生の現場で実際に起きていることについてお話ししたいと思います。
「負動産」と化す空き家の共通点とは?
まず、なぜ大切に住み継がれてきた実家が「負動産」になってしまうのでしょうか。私の経験上、そうした空き家にはいくつかの共通点が見られます。
一つは、「物理的な距離」です。
相続人となるお子さんが親元を離れ、遠方に住んでいる場合、実家に目が届かなくなり、結果として空き家が放置されてしまうケースが多くあります。遠く離れていては、家の状態を定期的に確認することも、必要な手入れをすることも難しくなります。
次に、「複数の所有者による責任の曖昧さ」です。
例えば、ご兄弟で実家を1/2ずつ共有で相続した場合など、所有者が複数いると、誰が最終的な責任者なのか、責任の所在が明確でなくなってしまうことがあります。
そうなると、全員が「当事者意識」を持ちにくくなり、「誰かがやってくれるだろう」という心理が働き、結局誰も行動を起こさないまま放置されることが多いのです。
そして、特に厄介なのが、「相続人であるご兄弟間の関係性」です。
仮に2人で相続したとしても、ご兄弟の仲があまり良くなかったり、疎遠になっていたりすると、たとえその空き家に資産価値があることを分かっていても、話し合いが滞り、放置されてしまうケースが非常に多いのです。
私自身、ご兄弟がお互いに会話をしたがらず、私が間に入って伝書鳩のように連絡を取り持たなければならないという状況に遭遇することもあります。このような状況は、通常であればあっという間に解決する話が、お互いに話したくない、顔も見たくないという理由で、進行が著しく遅れてしまう原因となります。
結局は、後々トラブルに発展するケースも少なくありません。
相続は、家族が故人を偲び、財産を受け継ぐ大切な機会であるはずですが、これらの問題が複雑に絡み合うことで、空き家が家族にとって大きな負担となってしまうのです。
「価値ある不動産」へ変える最初の一歩
では、実家が「負動産」になる前に、あるいはなってしまったとしても、それを「価値ある不動産」へと変えていくためには、具体的に何から手をつければ良いのでしょうか。多くの相談者様が「何から手をつけていいかわからない」とおっしゃいます。
まず、私が一番に提案するのは「現状を把握する」ことです。
ご自身の目で実家を見に行くこと
- 物件の内部に荷物が残っているかどうかを確認します。
- そして、建物の老朽化の度合いを詳細に確認します。例えば、シロアリの被害、建物の傾き、雨漏りといった現象は、修繕に多額の費用がかかる可能性がありますので、見落とさないようにすることが重要です。
- さらに、電気、水道、特に水回りといったインフラが使用可能な状態かどうかも確認が必要です。見た目の美しさや綺麗さはその後の問題であり、まずは生活する上での基本的な機能が保たれているかが重要です。
権利関係を確認すること
- 建物の現状把握と同時に、「登記簿謄本」を取得し、権利関係を確認することが次の大切なステップです。誰が所有者であるか、共有名義になっていないか、あるいは借入があるか(抵当権が設定されていないか)など、法的な側面を把握することで、その後の選択肢が大きく変わってきます。
- さらに、可能であれば「相場」を知っておくことも重要です。その不動産が売却した場合いくらになるのか、賃貸に出した場合いくらになるのか、周辺の取引事例などを参考に、大まかな価値を把握しておくことで、今後の判断材料になります。
この「相場」に関しては、特に注意が必要です。
不動産を売却しようと検討する際、複数の不動産会社に査定を依頼することがあるかと思いますが、相場よりもはるかに高い金額を提示してくる業者には注意してください。
例えば、相場が500万円の物件に対し、「うちなら1000万円で売れます」と高値を提示してくるケースがよくあります。これは、仲介の依頼を得るための戦略であることが多く、結局は売却が進まず、最終的には相場通りの価格に落ち着くということが珍しくありません。
このような「一括査定」などで安易に提示された高値を鵜呑みにすると、無駄な時間と労力を費やしてしまうことになります。
実際の取引事例はインターネットなどでも確認できますので、冷静に判断することが肝要です。
現状を把握した後は、相続人や関係者全員で「今後どうしたいか」を話し合うことが次のステップです。
誰が相続するのか、活用するのか、売却するのか、賃貸に出すのか、あるいは寄付するのか。
その意思を明確にし、共有することが、空き家が「負動産」となることを防ぐ上で不可欠です。
再生への道とコストを抑える工夫
「負動産」と化した空き家、特に郊外にある物件では、土地の価値が低く、築50年を超えるような老朽化した建物の場合、解体費用を差し引くと土地の価値がマイナスになってしまうことがよくあります。
つまり、お金を付けてあげなければ引き取ってもらえないという状況です。数百万かけて解体し、更地にしても売れないリスクがあるため、放置せざるを得ないケースも少なくありません。
放置すれば、固定資産税や管理費用だけが毎年かかり、いわば「出血」し続ける状態です。
このような状況で、私が実践しているのが、コストを最大限に抑えた「再生」による賃貸活用です。
通常の不動産会社に賃貸募集を依頼すると、「リフォームが必要です」と言われ、数百万円規模の見積もりが出てくるのが一般的です。
しかし、多額のリフォーム費用をかけてまで賃貸に出すことに踏み切れるオーナーさんは多くありません。
そこで私たちの出番です。私は、オーナー様がリフォーム費用を一切負担することなく、空き家を再生し、賃貸に出すサービスを提供しています。
具体的な「コストを抑える工夫」は以下の通りです。
「住める状態」に最低限の投資をする
- 見た目よりも、生活に最低限必要な機能の修繕を優先します。例えば、水回りが使えるか、床が傾いていないか、雨漏りがないか、鍵がきちんと閉まるか、といった基本的なインフラや安全性に関わる部分をしっかりと直します。
- 使えるものはそのまま活用します。無理にすべてを新品にするのではなく、まだ機能する部分は残し、清掃や部分的な補修で対応します。
「DIY」を積極的に活用する
- 私自身がリフォーム業者ではないため、掃除やペンキ塗り、簡単な修理などは自分で行います。これにより、人件費を抑え、材料費だけで済ませることが可能です。
- さらに、入居者の方に壁紙の貼り替えやペンキ塗りを自由にやってもらう「DIY賃貸」という選択肢を提案することもあります。これにより、オーナー側の初期費用をほぼゼロに抑えることができます。
賃料設定を戦略的に行う
- 一般的な相場よりも賃料を安く設定します。例えば、埼玉県の事例では、通常戸建て賃貸で6万円程度のところを4万円に設定しました。これにより、「多少古くても、安ければ住みたい」という層の需要を捉え、入居者を見つけやすくします。
- 入居者の方も安く住めることで喜ばれますし、生活インフラが整っていれば、多少古かったり、新築のように綺麗でなかったりする点には目をつぶっていただけます。
オーナー様の費用負担をゼロに
- リフォーム費用や賃貸募集にかかる費用は、すべて当社が負担します。
- オーナー様とは、再生後の賃料を分ける形で収益を分配します。これにより、オーナー様は費用負担なく、そして手間もかけずに、毎月の賃料収入の一部を得ることができます。固定資産税の負担は残りますが、それを上回る収入が得られるため、全体としてはプラスになります。
この再生モデルは、相続した空き家の使い道がなく、売却してもマイナスになってしまう、あるいは放置するしかない状況で管理費用が負担になっているオーナー様にとって、非常に大きなメリットがあると考えています。
管理も基本的には当社が行うため、オーナー様の負担はほとんどありません。私たちは、北海道から九州まで、日本全国どこの空き家でも対応しています。 特に地方から東京や横浜に出てきて暮らしている方が、実家の空き家について相談に来られるケースが多いため、エリアの制限を設けていません。
執筆担当

合同会社 Glanz-K
代表社員
影山 賢二
所属団体:
資格等:遺品整理士
~空き家再生請負人が空き家の不安から解放します!~
20年以上の経験がある不動産業。地方の空き家を相続した多くの方々が不安を抱えている状況を目の当たりにし、その不安解消のお力になりたいと考え、空き家再生事業をしています。
空き家の立地や建物の老朽化を理由に不動産会社から断られた物件も喜んで引き受けます。


