
<執筆担当>
~不動産の得する売り方を教える専門家~
株式会社ディア・エージェンシー
代表取締役 山川渡
秘められた価値の可能性
不動産を売却しようとする際、「再建築不可物件」と聞くと、「もう高く売るのは無理だ」「ほとんど価値がないのではないか」と諦めてしまう方がほとんどです。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
再建築不可物件にも「意外な価値」が存在する可能性があります。
そして、その価値の可能性は、単なる表面的な情報だけでは決して見えてきません。
再建築不可物件とは何か、なぜ安値になりがちなのか?
再建築不可物件を所有するお客様との会話の中で、「うちは建て替え出来ないから二束三文ですよね?」と率直なご質問を頂くことがあります。
専門用語としての「再建築不可」という言葉をご存じない方でも、「今の家を壊したら、建て替え出来ない」「建て替えが出来る物件と比較すると格段に評価が低くなる」という認識をお持ちの方が多いようにお見受けします。
そもそも「再建築不可物件」とは、どのような不動産を指すのかというと、建築基準法上の道路に「2m以上接していない」物件のことです。
全国的にみても、このような物件は決して珍しくありません。
そもそも昭和25年に建築基準法が成立、施行されるまでは、建物を建築するにあたって接道要件など関係なく、各自が自由に建物を建築していました。
しかしながらこの状況を見過ごしてしまうと災害時の避難や火災における消防車などの緊急車両の通行を妨げることになり、安全な環境を確保することが出来ないために国会で建築基準法という法律を制定して、道路と2m以上接していないと再建築不可とするように定めました。
それでは、なぜ再建築不可物件は安値になりがちなのでしょうか?
その最大の原因は、購入時に金融機関からの融資が受けられないという点にあります。
銀行などの金融機関は、再建築不可物件、あるいは建築時は適法だったが現在の法律では違法とされる既存不適格物件に対して、建物購入のための融資を実行してくれません。
これは、金融機関が「違法な状態にある物件」に対してコンプライアンス的にも融資をしないと判断をするためです。
結果として、購入できるのは「現金客」に限られ、買い手が大幅に絞られてしまうため、価格が低く抑えられてしまうのです。
エリアや周辺環境、隣地の状況によっては、それなりの価格がつく場合もありますが、基本的には現金客しか買えないという制約から、高額な売却は難しいとされています。
リフォーム費用に関しても、融資を受けるのが難しいので注意が必要です。
「杓子定規」な判断をせず、多角的な視点から価値を見出す
しかしながら、再建築不可物件だからといってその価値を最初から低いと決めつけてはいけません。
大切なポイントは、「高く売れる可能性はないのか?」という視点です。
そして、そのためには、単に「再建築不可だから売れない」と杓子定規に決めつけるのではなく、多角的に、あらゆる角度から物件を考察することが重要です。
再建築不可物件の「意外な価値」を引き出すための戦略は、主に以下のパターンに分けられます。
売却先のターゲットを見極める
- エンドユーザーへの売却
立地が良く、リフォームすれば十分に住める状態の物件であれば、再建築はできなくても「リフォームして住みたい」と考える実需層の一般買主向けに販売をご提案するケースがあります。 - 投資家への売却(収益物件化)
ファミリー向けには小さすぎる戸建住宅でも、都心部であれば、例えばDINKSの夫婦や、広々とした空間を使いたい単身者、あるいはリモートワーカーやクリエイターの方々に賃貸物件としての需要が考えられますので、最低限のリフォームを実施し、入居者を募集して「収益物件」として投資家に売却するという方法が有効です。
収益物件として生まれ変わらせることで、当初想定していた金額よりも高値で売れる可能性も出てきます。 - 不動産業者への売却
リフォーム費用をかけたくない、あるいは時間優先で早く売却したいという場合は、業者への売却も選択肢になります。
しかし、この場合には価格は安くなるというデメリットはありますが、売主の契約不適合責任を免責にしたり、換金時期が明確になったりするメリットもありますので、建物の老朽化が著しい場合や多額のリフォーム費用を要するような場合などにはケースバイケースで検討してもいいかもしれません。
「特例」が適用されないか調査する
「43条2項2号許可が適用される物件」の可能性:
再建築不可とされていても、建築基準法第43条2項2号許可(43条但し書き)により、例外的に建築が認められる物件である可能性があります。例えば、避難通路が確保されている、公園に面しているなど、特定の条件を満たすことで、建築審査会が建築を許可するケースです。
この条件に該当すれば、建て替え出来る可能性が高まります。
物件調査を行うことで但し書きの適用がある物件かどうかがわかりますので、まずは役所で綿密に調査を行い、建築の可能性を探ることが重要です。
少しでも高く売るためのポイント
残置物の撤去
物件内部に家財道具などが残されたままだと、買主側はそれらの撤去費用を考慮して値下げ交渉をしてくるためにどうしても価格が低くなってしまいます。
事前に残置物を撤去して建物内部を空にしておくことで、売却価格への影響を最小限に抑えられます。
日頃から建物を丁寧に使用する
日頃から建物を丁寧に使い、きれいな状態を保っておくことも重要です。傷みが激しい物件だと、買主側が多額のリフォーム費用を見込むため、購入をためらったり、大幅な値下げを要求されたりする可能性があります。買主が購入後のリフォームを前提とする場合でも、元の状態が良ければリフォーム費用を抑えられ、買主にとって魅力的な物件に映ります。
驚きの「意外な価値」を引き出した事例
再建築不可物件にもかかわらず、当初の査定額を大幅に上回る価格で売却できた事例の一部をご紹介しましょう。
事例1:収益物件化することで当初の査定額よりも1000万円高値で売却(江東区、砂町銀座付近の再建築不可物件)
再建築不可であるご実家を相続されたお客様A様の事例です。
A様が相続されたご実家は、一般のファミリー向けにしては小さな一戸建てで、しかも建築基準法上の道路に2m以上接していない「再建築不可物件」でした。
A様が近所の不動産会社に相談したところ、「再建築が出来ないし間取りや広さもファミリー向けではないので、不動産業者に200万円程度で引き取ってもらうのが関の山だ」と言われたそうです。
しかし、A様はその金額に納得がいかず、相続手続きをお願いしていた行政書士の紹介で私どもにご相談に来られました。
A様から物件についてヒアリングさせて頂き、不動産調査および建物内見後に弊社からご提案したことは、「最低限のリフォームを実施して、賃貸物件として入居者を募集してから、収益不動産として不動産投資家に売却する」というものでした。
都心部では、一戸建ての賃貸物件の需要は高く、DINKSのご夫婦やリモートワーカー、クリエイターの方など、広い空間を求める層に人気があるので、最低限貸し出すことが出来る程度の水回り(キッチン、浴室など)のリフォームと壁紙の張り替えを行い、入居者を募集したところ、月額9万円の家賃で入居者が決まり、年間108万円の収益を生み出す「収益不動産」へと生まれ変わらせてから、不動産投資家向けに販売活動を実施して1200万円(利回り9%)で売却することに成功しました。
結果的には、当初の200万円という査定額と比較すると、1,000万円高く売却できたことになります。
これは、再建築不可物件でも、販売ターゲットを「実需層の一般買主」から「収益を求める不動産投資家」へと変更して、少し工夫を加えることで、その価値を最大限に引き出すことが出来た事例です。
事例2:隣地との共同売却で当初の査定額よりも1600万円高値で売却(品川区、袋地物件)
次に、品川区にあった「袋地」のご実家を相続されたB様の事例です。
B様が相続されたご実家は駅から近く立地は非常に良いものの、物件の四方を他の家に囲まれており、自宅に入るためには南側隣家の敷地内の幅50cmほどの通路部分を通らなければならないという物件でした。
B様が近所の不動産会社に売却査定の相談をしたところ、「いくら立地が良くても、他の家に囲まれた袋地で、しかも他人の敷地を通らなければいけない物件なので、400万円程度で引き取ってくれる不動産業者がいたら御の字だと思う」と言われてしまったとのことでした。
あまりにも想定とかけ離れた査定額に愕然としたB様は、相続手続きを任せていた弁護士からご紹介を受けて私どものところにご相談に来られました。
当初、ヒアリング段階では「さすがに難しい」と感じましたが、とにかく現地を見てほしいとの強いご希望がお有りでしたので、まずは現地確認することになりました。
その結果、現地に足を運んでみて初めて分かった「意外な発見」があったのです。
なんと物件に通じる南側の隣家が「空き家」になっていたのです。
南側の空き家と奥の袋地を一緒に売却すれば、建売用地として袋地部分についても適正価格での売却が可能ですので、すぐに南側の空き家の登記簿謄本を取り寄せ、所有者を特定しました。
そして、所有者であるC様に連絡を取り、事情を説明したところ、ちょうどC様も諸事情あって売却を検討されている様子でしたので、「北側隣地の袋地所有者のB様が売却をご検討されていますが、B様部分だけでは評価が低すぎるので、C様がもしご売却をお考えでしたらB様部分と一緒に売却させて頂けませんか?C様もC様部分だけで売却されるよりもB様の北側隣地と一緒に売却することで、面積が大きくなって一宅地として今より高く売れる可能性がありますよ」とご提案しました。
結果として、南側の空き家と奥の袋地を一緒に売却させて頂き、「袋地」単体では400万円と言われていた物件を2,000万円で売却することが出来ました。
当初の価格よりも1,600万円も高く売却できたこの事例は、運が良かった部分もありますが、「現地に足を運び、多角的に可能性を探ること」の重要性を改めて再認識しました。
事例3:隣地の一部購入で再建築可能に(中野区、旗竿地物件)
最後に、中野区での旗竿地(敷地延長)所有者D様の事例です。
この物件は、建築基準法上の道路への接道が1.9mしかなく、必要な2mにわずか10cm足りないため、再建築不可となっていました。
築年数も古くリフォームするにも多額の費用を要することになるので、このままでは、業者に300万円程度で引き取ってもらうしかないような物件でした。
しかし、現地を確認した際、本物件の路地上部分と隣地との境界の間に、建物や塀などの障害物が存在しないので、隣地の方から10㎝分の土地を譲って頂くことが出来れば2mの接道義務を満たして、再建築可能な土地に生まれ変わることに着目しました。
そこで、D様に隣地所有者の方から奥行5m×10㎝の0.5㎡の土地を購入した場合の大きなメリットについてご説明してから、改めて隣地所有者の方に0.5㎡分の土地を売却してもらえないかと交渉しました。
隣地の所有者は「0.5㎡お譲りしてもうちは特に困らないので金額次第ではいいですよ」と快諾してくださり、100万円程度の費用でその0.5㎡分の土地を購入し、D様の物件に組み込むことが出来ました。
これにより、この旗竿地は再建築可能な物件へと生まれ変わり、当初の想定をはるかに超える価値での売却が可能になりました。
この事例もまた、建築基準法上の道路に2m接道していない「再建築不可」という現状だけに囚われず、「どうすれば有効活用できるか」という視点で物件を観察することで、新たな解決策を生み出すことが出来たという事例になります。
不動産売却における大切な考え方
これらの事例を通じて、私どもが不動産売却、特に再建築不可物件の売却において大切にしている考え方は、「常に『どうすれば高く売れるのか』を考え抜き、多角的な視点から有効活用策を模索すること」です。
現状のままでは再建築不可ですが、安易に「売れない」と決めつけるのではなく、
- 隣地から土地の一部を買い取れば建築できる土地に生まれ変わらないか?
- 隣地と一緒に売却すれば、全体としてより高い価格で売却出来ないか?
- 何かしらの収益を生み出す方法はないか?収益物件にするには?
といったように、様々な角度から可能性を探るのが大切なポイントになります。
単に物件の情報を並べて査定するだけでなく、その物件が持つ潜在的な価値や有効活用の方法を見つけるために可能な限り努力することが不動産売却を有利に進めていくうえでの大きな分かれ道だと考えています。
お客様が望む「高く売りたい」という想いと、市場の「適正価格」との間には、時に大きなギャップが生じます。
そのギャップを埋めるためには、「売却をお願いするところ」×「売却戦略」×「ターゲット」×「値付け戦略」×「税金特例の適用の可否」という5つを組み合わせた不動産の売り方メソッドを活用することをおすすめします。
この売り方メソッドを活用することで、時には数百万円、あるいは1000万円以上の差が生まれることも充分にあり得ます。
例えば、「誰に売るか」という売却先のターゲットの設定についてですが、一般のファミリー層向けか?不動産業者向けか?不動産投資家向けか?あるいは隣地所有者向けか?売るターゲットを変えるだけで、同じ物件でもその価値は大きく変動します。
今回のテーマのまとめになりますが、再建築不可物件でも、建替え可能な一般的な物件と同じ条件で必ず売却出来ると断言は出来ませんが、「売れない」、「売れたとしても二束三文」という固定観念に囚われず、多角的な視点から考察することで、「意外な価値の可能性」を引き出すことが充分可能な場合が往々にしてありますので、諦める前に、ぜひ一度、その物件が持つ可能性について私どもにご相談ください。
執筆担当

株式会社 ディア・エージェンシー
代表取締役
山川 渡
所属団体:全国宅地建物取引業保証協会、東京都宅地建物取引業協会
資格等:宅地建物取引士、行政書士
~初めてのお客様にも、
「安心して」「お気軽に」「ご遠慮なく」「何でも」「何度でも」
ご相談頂ける会社に。~
弊社は業務を遂行するうえで「不動産業」とは「サービス業」であり「お客様のために」を根底においた「ホスピタリティの精神」を常に心がけています。ご提案させていただくコンサルティング内容の充実はもちろん「おもてなしの心」を持ってお客様お一人お一人に誠心誠意ご対応させていただきます。
「ディアに任せてよかった」と、一人でも多くのお客様に言っていただけることを目標に日々の業務に取り組んでまいります。
会社HP:https://www.dear-a.co.jp/
東京都渋谷区代々木4-37-8 アンクレール初台1F


